[ブログトップ固定]著書の正誤訂正
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Physiology & Behavior誌の第261巻(2023年3月発行)に下記論文が掲載されます。電子版ではすでに出版され、[こちら]から要旨が読めます(同誌購読機関では本文も読めます)。なお、本日から50日間は[こちら]から無料で本文が読めます。
ラットは嘔吐できませんが内臓不快時にはカオリン(陶器材料となる粘土鉱物)を食べる習性があります。しかし、カオリン以外の鉱物を食べるかどうか吟味されていませんでした。そこで、本論文は3つの実験で、カオリン、石膏、石灰の摂取量を比較しました。実験1では塩化リチウム(内臓不快を引き起こす薬物)を注射されたラットが、カオリンだけでなく石膏も食べることを、カオリン群と石膏群の2群実験で示しました。ただし、カオリン群のほうが摂取量が多いという結果でした。実験2Aでは塩化リチウムを注射されたラットが、石膏だけでなく石灰も食べることを、石膏群と石灰群の2群実験で示しました。ただし、石膏群のほうが摂取量が多いという結果でした。いっぽう、シスプラチンを内臓不快を引き起こす薬物として用いた実験2Bでは、石膏群で摂取量増加が見られましたが、石灰群では注射による摂取量変化はありませんでした。以上の結果から、内臓不快感の検出にはカオリンが最適で、石膏は次善、石灰はあまり有用ではないと結論しました。
Nakajima, S. (2023). Pica caused by emetic drugs in laboratory rats with kaolin, gypsum, and lime as test substances. Physiology & Behavior, 261, 114076.
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『臨床心理学スタンダードテキスト』(岩壁茂ほか編、金剛出版人、2023年2月刊、税込16,500)が出版されます。「認定心理師時代を迎えた臨床心理学の新基準スタンダード」を謳う教科書で、多くの学者が結集して制作されています。目次と執筆者は[こちら]を参照。私は、2節から構成されている第8部「学習・言語心理学」の第1節「行動変容プロセス」を執筆しました。臨床心理学徒に読んでもらえるように書きました。
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十数年前(2010年3月)に、タンザニアのモロゴロ市にある地雷探知ネズミの訓練施設を訪問しました(そのときの日記は[こちら])。国際NPO団体APOPOが行っているアフリカオニネズミによる地雷探知(と結核菌検出)のオペラント条件づけによる弁別訓練のようすを見学したのですが、このプロジェクトは順調に進み、現在はアフリカだけでなく東南アジアでも進められています。東南アジアでの拠点はカンボジアのシェムリアップ市にあります。12月26~30日にカンボジアへ家族旅行をした際、同市にあるアンコールワットを観光したおりに、その近くにあるAPOPOビジターセンターを訪問しました(12月27日)。カンボジアで活躍したマガワという名のネズミが2022年1月に亡くなった際にはCNNなどで大きなニュースになりました。さて、ビジターセンターのガイドの説明によれば、カンボジアなどで活躍するネズミもすべてタンザニアで生まれて訓練を受け、派遣されてくるのだそうです(現地では復習訓練のみ)。
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慶應義塾大学名誉教授の渡辺茂先生から『あなたと動物と機械と』(ドミニク・デステル(著)、渡辺茂・鷲見洋一(監訳)、ナカニシヤ出版、2022年11月刊、税別3000円)をいただきました。 哲学的動物行動学を唱えるフランスの哲学者の本の邦訳です。何度か来日して、渡辺先生の関係するシンポジウムにも登壇しているそうですが、私は不勉強でこの方については存じ上げませんでした。ヒトと動物の関係学や種を超えての共感について考える際に、参考になりそうです。「ですます」調で訳されているのでとっつきやすそうです。
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名古屋大学の川合伸幸先生から『心と脳』(川合伸幸・編、東京大学出版会、2022年10月刊、税別3200円)をいただきました。全4巻をなす認知科学講座の2巻目という位置づけです。14ページに及ぶ編者「序」はよく練られた内容で、認知科学と脳の関係に興味のある人は必読です。生得的・習得的恐怖の脳機構を紹介した第2章など、勉強になる内容がたくさん含まれていました。
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