雄山真弓 先生 ご逝去

本学文学部名誉教授の雄山真弓先生がお亡くなりになりました。雄山先生は、本学に40年以上(1967~2009年)ご在職され、うち最後の2000~2009年は文学部総合心理科学科所属教員として、データ解析等の授業をご担当になりました。また、ゼミでは今西 明 氏(いすゞ中央研究所)など、人間工学の優秀な研究者を養成されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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ワグナー博士ご逝去

Arwagnerイェール大学名誉教授のアラン・R・ワグナー(Allan R. Wagner)博士が、9月28日に癌でお亡くなりになったとの知らせが飛び込んできました。1934年生まれですのでおそらく84歳です。
 ワグナー博士は私の米国留学時の受け入れ教授であるレスコーラ博士(現:ペンシルベニア大学名誉教授)と共同でレスコーラ=ワグナー・モデルという古典的条件づけの理論モデルを提唱したことで有名です。モデル提唱時、ワグナー博士とレスコーラ博士はイェール大学の同僚でした(ワグナー博士が6歳年上)。したがって、私にとっては学問上の「伯父さん」のような存在ですが、初めてお会いしたとき(留学から帰国直前の1997年3月にデューク大学で開催されたシンポジウム)では、私はひどく緊張してしまい、握手していただいた手を強く握りすぎてしまった記憶があります。
 ワグナー博士は、レスコーラ=ワグナー・モデル以降も、プライミング・モデル、SOPモデル、 AESOPモデルなど多くの理論モデルを提唱され、連合学習研究の理論的支柱のお一人でした。現在、私はSOPモデルと関係する実験論文について、某誌から査読後の再修正を求められているので、それを仕上げることで、ワグナー博士への追悼としたいと思います。

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日本動物心理学会第82回大会

Cimg9892日本心理学会第82回大会が9月25日(火)~27日(木)に仙台国際センターで開催されました(大会長:東北大学 行場次郎先生)。私は前日の役員会の他、初日のポスター発表と2日目の公募シンポジウム『動物学習心理学の進歩―古典的条件づけの「尖端」的研究―』で、科研費研究「ラットの悪心と粘土食に関する研究」の成果の一部を紹介しました。

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日本動物心理学会第78回大会

12dfc9c9c5504376bd8d047355cf5b54日本動物心理学会第78回大会が8月28日(金)~30日(日)に東広島芸術文化ホールくららで開催されました(大会長:広島大学 阪田省吾先生)。私は初日の公開シンポジウム『補助犬の普及について考える―市民と共に考える―』で指定討論を務めました。

Cimg9871Cimg9873中島ゼミでは、大学院生の長谷川依保さんが、立命館大学の卒業論文として北岡明佳先生の下で行ったクラゲの条件づけの卒業論文の成果を発表したほか、中島ゼミ4年生の山本美玖さんが、現在卒論として取り組んでいるヒトデ研究のうち、光走性や砂粒の好みに関するデータをポスター発表しました。

Cimg9872Cimg9874長谷川さんは大会2日目、山本さんは3日目の発表でしたが、いずれの発表も多くの方に見ていただき、有益な質問・助言をいただきました。

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日本行動分析学会第36回年次大会

Cimg9870日本行動分析学会第36回年次大会が、8月24日(金)~26日(日)に同志社大学の武藤崇先生を大会長として、同大学今田川キャンパスで開催されました。私は、2日目の大会企画シンポジウム『食行動と行動分析学』で「味覚嫌悪学習を知る―ラットの行動研究から―」と題して、味覚嫌悪学習の概説を行いました。

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米国心理学会第126回大会

Sf1米国心理学会第126回大会が8月9日(木)~12日(日)の4日間、サンフランシスコで開催されました。米国心理学会参加は5年前のハワイ以来です。サンフランシスコは1996年に開催された国際行動分析学会大会のときに訪れてから22年ぶりになります。

Sf58月8日夕刻に関空を発って(時差の関係で)同日昼にサンフランシスコに到着。夕食はチャイナタウンで食べましたが、チャーハンとビールでチップ込み30ドルもしました。22年前は行動分析学会のニューズレターで島宗理先生が書いているように、「4ドルもあればお腹いっぱい」でしたから、ビール分を除いても約5倍の値上がりです。米国ではこの間、物価が全体に上がっているのでしょうが、日本ではほぼ変わらないので懐が痛みます。

Apa1翌9日(大会初日)に「マウスにおける走行性味覚嫌悪学習」のポスター発表をしました。基礎系の研究発表が少ないこともあって、私のポスターを訪れてくれたのは数名でしたが、視覚的注意研究の権威マイケル・ポズナー教授が(ご自身の専門分野ではないにもかかわらず)私の研究に関心を示していただき、1対1でしばらくお話しできたのは光栄でした。

Apa3Apa5専門分野の個別の研究発表は少なかったのですが、ゼントール、ワッサーマンなど動物認知学習分野の大物の講演は聴き応えありましたし、5年ぶりにオーバーマイヤー教授と話ができて近況を報告しました。学会会場は、市内中心のモスコーニ・センターで、キース・へリングの立体作品が建物前にありました。会場内にはオハイオ州アクロン大学の心理学博物館のブースもあり、スタンフォード監獄実験で囚人役の学生たちが着た囚人服の展示などに興味が引かれました。

Sfmoma1Sfmoma3米国心理学会は朝8時からセッションが始まり、午後1時頃には主要なセッションは終わります。それ以降は役員会で私には関係ないため、初日(9日)の午後は会場の斜め向かいにあるサンフランシスコ近代美術館を見学しました。ちょうどマグリット展をやっていました。

Tolmanhall1Tolmanhall4大会2日目(10日)の午後は、市内から電車で30分で行けるカリフォルニア大学バークレー校を見学しました。ここは認知地図の概念を考案したことで有名な新行動主義者トールマンが教鞭をとっていたところで、その名を冠したトールマンホールという建物があります。心理学や教育学の学部棟になっていたのですが、耐震対策が不十分であることが判明し、年内に取り壊しになる(新しくできる建物にはトールマンの名は冠されない予定)とのことで、絶対に見ておくべきだと思ったのです。

Tolmanhall2Ucbpsychology入口のガラスドアには「Building Closed」と貼られており、心理学分は近くの生物学系の大きなビルの一翼に移転していました。

Ucb2Ucb3一般人としてキャンパスを訪れたため、心理学部内は見学せず、時計台前から遠くサンフランシスコの金門橋(ゴールデンゲート・ブリッジ)を眺めたりして、晴天のカリフォルニアの夕刻を過ごしました。

Stanford1Stanford3大会3日目(11日)の午後は、市内から電車で1時間余りのパロ・アルト市にあるスタンフォード大学を見学しました。この大学の心理学研究室はエンジェルが開き、ターマン、シアーズ、アトキンソン、バンデュラ、バウアー、エスティズ、フェスティンガー、プリブラム、ザイオンスなど心理学史上の巨星が多くいたところです。もちろん前述の監獄実験を行ったジンバルドーもそうです。心理学部(右写真の白いリンカーンリムジンの背後の建物)の中は訪れませんでしたが、数時間キャンパス内を散策しました。

Stanford5Stanfordx7スタンフォード大学のキャンパスは関学に似ているとよくいわれます。確かに、ベージュの壁に赤瓦というスパニッシュ・ミッション建築で統一されている点は同じです。左写真などは三田キャンパスのアーチにそっくりです。

Stanford2Stanfordy1中央に楕円形の芝生(オーバル)があり、そこで学生たちが楽しく過ごしている点も似ていますが、スタンフォードのオーバルは関学の中央芝生の数倍はありそうな広さです。

Stanfordx3Stanfordx6Stanfordx9また、建物の壁も関学はほぼすべてスタッコ仕上げという、漆喰をコテで叩いてつくるざらざらした表面ですが、スタンフォードの方はレンガあり、化粧ボードあり、で様々ですし、色合いも建物ごとに少し違います。統一感では関学が勝っていますが、豪華さではスタンフォードの圧勝です。

Stanfordx2Stanfordx4米国31代大統領フーバーのフーバータワーの名を冠したランドマーク塔に登ってキャンパスを見下ろすとその広大さがわかります。ネットで調べた敷地面積で計算すると、関学上ヶ原キャンパスの165倍、三田キャンパスの95倍あるようです。

Legionofhonor1Legionofhonor7Legionofhonorx1大会最終日(12日)は、すべてのプログラムが終わってから、バスを乗り継ぎ、1時間ほどかけて市の外れにあるリージョン・オブ・オナー美術館を見学しました。前日までの快晴とはうって変って曇りの寒い日で、美術館の周りは霧が出ていて、晴天なら絶景という金門橋は全く見えませんでしたが、収蔵されている作品群は素晴らしいものでした。

Legionofhonor2館内ではラファエル前派展を開催中で、イタリアからラファエロの自画像が来ていました。バスの中で知り合った地元の老婦人が美術館の館友(同伴者は1名無料)ということで、私も一般入場料・展覧会特別料金とも無料で入館させてもらう僥倖に恵まれました。

Sfo翌13日朝にサンフランシスコ空港に向かいました。アンティークの自動販売機のミニ展覧コーナー(写真はそのうちの一つで、硬貨を入れると香水が吹き出す装置)を眺めながら待ち時間を過ごして、昼前に発ち、日付変更線を越えて14日の夕刻に無事帰国しました。

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『基礎心理学実験法ハンドブック』

Jikkenhouh日本基礎心理学会・監修の『基礎心理学実験法ハンドブック』が朝倉書店から刊行されました(2018年6月刊、18,000円+税)。
 第4部[学習と行動]に含まれる5つの章のうち3つ(「古典的条件づけ」「走路/迷路学習・逃避/回避学習」「ヒトの学習研究法」)の編集を担当しました。また、下記の7項目を単独執筆しました。このうち1つ目は第1部[実験の基礎]、それ以外は第4部[学習と行動]の中の項目です。
 
動物実験の研究倫理 pp.48-49
代表的な古典的条件づけ事態 pp.290-293
古典的条件づけにおける連合構造とその表出 pp.294-295
古典的条件づけの消去とそれに関係する現象 pp.296-297
逃避学習と回避学習 pp.308-311
オペラント条件づけにおける連合構造とその表出 pp.344-345
見本合わせ法 pp.364-365

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『基礎心理学研究』に論文掲載

Psychono1日本基礎心理学会発行の『基礎心理学研究』に、不安障害に対するエクスポジャー(曝露)法の理論に関する解説論文を書きました。特に、近年、あまり評価されていないように思える系統的脱感作法について、ラットでの条件づけ実験結果に基づき、単純なエクスポージャー法や段階的エクスポージャー法よりも優れている可能性を再検討すべきではないかと提言しました。中島ゼミ出身の臨床心理士遠座奈々子さんとの共著です。

遠座奈々子・中島定彦 (2018). 不安障害に対するエクスポージャー法と系統的脱感作法―基礎研究と臨床実践の交流再開に向けて― 基礎心理学研究, 36, 243-252. [無料ダウンロード]

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Learning & Behavior誌に論文掲載

LbfrontpPsychonomic Society発行のLearning & Behavior誌に、ラットの走行性味覚嫌悪学習とパイカ行動(粘土食)に関する論文が掲載されました。要旨は[こちら]。
 回転カゴ走行によってパイカ行動が出現するという前報の追試(実験1)、走行性味覚嫌悪学習とパイカ行動を同一個体で同時に実証し弱い正の相関を確認(実験2)、パイカ行動は走行性味覚嫌悪学習を減弱しないこと(実験3)、吐き気はパイカ行動を生むが腹部の痛みはパイカ行動を引き起こさないこと(実験4)、を報告しています。

Nakajima, S. (2018). Running-based pica and taste avoidance in rats. Learning & Behavior, 46, 182–197.

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学科紀要に論文掲載

 大学入試センター試験(研究1)および3種の国家試験(研究2)について、選択肢のどこに正答が置かれているかを調査した論文を学科紀要に発表しました。いずれの試験も、正答はほぼ均等に分布していましたが、中央に正答が置かれる傾向が、弱いながらも、統計的には有意に見られることがわかりました。なお、この研究は、海外で行われた同様の研究(Attali & BarHillel, 2003)から中島が発案し、2011 年度卒業生の安藤拓也君(研究1)と徳力洋介君(研究2)が卒論研究として取り組み、多大の労力を尽くして集計したデータが元になっています。なお、この論文の序論では、同一(ないしは類似)の品物の選択においてみられる中央バイアスや右側バイアスに関する諸研究を展望しています。

中島定彦・安藤拓也・徳力洋介 (2018). 択一式筆記試験における正答の位置. 関西学院大学心理科学研究, 44, 9-15. [無料ダウンロード]

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